ネコはあまり視力が良くありません。
  
  ネコの目の水晶体は非常に大きいですが、
  
  水晶体を動かす=ピントを合わせる=ための筋肉はかなり貧弱です。
  
  ですからネコは近くの「もの」にしっかりピントを合わせることができません。



見ている「もの」が動かない場合、75cmより近くなるとぼやけてしまい、15cmより手前の「もの」はほとんど見えていないようです。
視力があまり良くないネコですが、音がするとその方向に目を向けますから、まずは目でその「もの」を確認しようとします。
ネコは、人間のように「もの」を追いかけて上手に目を動かすことができないので、視界からはずれると頭を動かし「もの」を追いかけます。

カメラレンズのように焦点距離があるネコの目の一番ピントが合うのは、2~6m離れたところです。
どこまで遠くの「もの」が見えるかは、目の焦点で調節してピントを合わせるときの調整がどれだけ遠くの「もの」まで合わせることができるかによって決まります。ネコの目の焦点が機能しなくなるのは、約10~20mあたりです。

ネコは20m以前であれば、じっと見る(凝視)することで距離感をかなり正確に判断できます。
ネコの水晶体はカメラのズームのように軸の移動(目のレンズが前進したり後退したり)して調整します。
また、「もの」をよく見ようとして水晶体を拡大鏡のように使うことができます。
ネコが獲物を狙うときははじっと視点を定め、レンズで拡大し、自分からの距離をセンチメートル単位という正確さで測定することができます。

 

余談ですが、メインクーンに関しては、あまり距離感覚が優れているとは思えません。
彼らは、キャットツリーやテーブルに飛び乗ろうと、首を小刻みに上下し身体全体でピントを慎重に合わせますが、時々体全体が台の上まで届かず、爪だけでズルズルしがみつくように乗り損ねることがあります。
そんな場面を私が見ていることに気がつくと、一瞬気まずそうな表情を見せ、おもむろに手や顔を舐めはじめ「なんにもなかったことにしましょう」と気を落ち着けようとします。(もちろん、私はネコのプライドを傷つけないように、お腹の肉がピリピリ震えるのを我慢して見なかったことにしてあげます)
メインクーンは胴の長い非常に大柄なネコが多いので、彼らの場合は距離感がわからないのではなく、自分の体の大きさを認識していないせいで、目測を誤るのかもしれませんけどね。

 

一番よく見えるのは動く「もの」

 

ネコの脳の中には、動きに反応する特定の神経細胞が見つかっています。
ネコは動く獲物に集中すると、周りの風景をぼかして、その獲物のみにピントを合わせることができる能力を持っています。視野の範囲内で動く「もの」があれば、50m先でもしっかり確認できます。
これは、網膜に残像が残っている時間が長いためだと考えられます。
反対に人間がかろうじてわかる程度のゆっくりとした動きの「もの」を、ネコはあまり感じることができません。

ネコの目は顔の割合に比べると非常に大きく(人間の顔でネコの目を持つとしたら、野球のボールほどの大きさになるそうです!)、また眼球(角膜)はかなり外側に湾曲して、ちょっと外に飛び出し気味についています。この目の形と、視界を邪魔しない小さめの鼻のおかげで、ネコの視界はかなり広く左右の目の視野は、155~208.5度あります。
そのうちの、90~130度は反対側と重なって、両眼視野が作り出されます。
左右の視野が重なる部分の角度が広くなると、「もの」を立体的に見ることができ、距離感をつかむ能力が高くなります。



ネコは正面で見える「もの」よりも、視野の周辺(端っこ)で動く「もの」の方がよく見えているのではないか?と思われます。